山荘にL以外は荷物を置いて、空身で穂高岳ピストン開始。小屋からのいきなりの急騰で大渋滞しているのに、少々面食らう。少し高度を上げると荘厳な笠ヶ岳の姿が目に飛び込んでくる。そして稜線の向こうには槍ヶ岳。運良く天気が晴れ、抜群の展望が広がり、最高に楽しい気分。もうすぐ山頂というところで、不意に右手側(新穂高温泉方面)のガスの上に、なんと御来迎が出現!!黎明の清々しい空の下、笠ヶ岳の斜面に映し出される虹の輪は、場合によっては三重にもなり、北アルプスの山々と共に織り成される風景は、まさに神秘的としか言いようがない。メンバー全員が興奮しながら、そのまま奥穂高岳山頂着。手を振れば虹の中のブロッケンの妖怪が手を振り返してくれる。
しばしこの最高の展望を楽しんだ後、登山客でごった返すピークで記念撮影。池田は北岳でもブロッケンは見たことがあるらしいので、残るは富士山の頂上か。ガスに覆われたジャンダルムの上には、三人の人が立っているのが幽かに見えた。だんだんガスも濃くなってきたのでサクッと穂高岳山荘に戻る。しかし、ここから北穂高岳までは危険箇所が続き不安なので、しばらくガスと風の様子を見て、行くかどうか判断することにする。結局一時間ほど小屋でゆっくりした後、あまりにも危なそうなら戻るということにして、予定通り涸沢岳へ向けて出発。頂上まではあっという間だが、本番はここから先。ピークを少し過ぎるといきなり垂直の下りが始まる。安岡に行けるかどうか再確認すると、引きつった表情で「行きます」と一言。非常に心配なリアクションだったが、ザックもピストン装備で軽いので、頑張って進むことにする。
ここから北穂高岳までは、コースタイムで2時間半の行程だが、鎖の付いた切れた斜面をトラバースしたり、ほぼ垂直の斜面を登り降りしたりと、なかなかスリル満点の道が続く。しかも三連休ということで、すれ違う登山客の数も半端なく多く、すぐに渋滞を起こすので、危険箇所の緊張と相まって精神的にかなり消耗させられる。そうこうしていると、事故があったのかヘリが飛んできて、せわしなく空を舞っている。前穂〜明神岳のあたりで滑落があったらしく(但しソースは通行人の会話)そのあたりをホバリングしていた。そして緊張を強いられる稜線をひたすら進み、渋滞の待ち時間も含め、ほぼコースタイム通りになんとか北穂高岳への分岐に到着。しかし、ここの下りで池田が膝を亜脱臼したらしく、少し痛がっている。本人曰くよくあることで、サポーターをしていればひどい外れ方もしないので大丈夫ということだが、これからの下りを考えるとやはり心配である。
分岐から北穂高岳までは、僅かな登り。池田も普通に歩けるようなので、とりあえず頂上へ向かう。ピークからはキレットから西側がガスって、槍ヶ岳が見えなかったのが少々残念であるが、常念の展望は相変わらず良い。危険箇所を越えた安心感からか、比較的長い休憩を取ってしまった。展望を楽しみ、写真を撮って、いよいよ涸沢のベースへ下山開始。池田の膝のこともあり、2時間ほどのややスローペースでテン場に到着する。晩飯はハッシュドビーフ。途中でとなりのV8のおじさんが間違ってうちのV6にやってきて、「おいおい、みんな(勢いが)死んでるよ」と言われたのが衝撃的だった。むしろあなた達の方が、騒ぎ過ぎですから・・・。そして今宵はなんと言っても中秋の名月。静寂の中、前穂の上に懸かる満月は、とても風流かつ幻想的だった。
コルからは二時間ほど黙々と下り、新村橋を経由して徳沢へ。徳沢−明神−上高地の道は相変わらず人が多く、少々げんなりさせられる。サクサクと一時間半ほど歩き、河童橋に着いたころには、天気もだいぶ回復していた。アルペンホテルで入浴し、近くの食堂で昼飯を食べて軽く打上げ。こうして二泊三日の快適山行は終了した。
(hiromitsu)